今、「わたしはクリスチャンです」と表明することに忸怩たる思いをしている方も少なからずおられるのではないでしょうか。わたしもそうです。教会もストレートに「福音を語る」ではなく、「言い訳しながらの伝道」のような形になっているのではないでしょうか。迷惑この上ないことです。
それは、アメリカの大統領、トランプさんの言動の故です。ロシアのプーチンさんもロシア正教の信徒ですが、今日の日本のキリスト教信徒たちに忸怩たる思い、心苦しい思いにさせているのは、ドナルド・トランプさんがアメリカの福音派教会員たちの圧倒的な支持を受けているからです。
性の倫理に厳しいはずの福音派のクリスチャンが、倫理的に問題のあることが明らかなトランプさんを圧倒的に支持しているのです。人種を超えて世界中に、アジアやアフリカに大量の宣教師を派遣してきた福音派教会員たちが、人種差別を公言し、アメリカへの門戸を閉ざすトランプさんを支持しているのです。
胎児の命を尊び、妊娠中絶に反対し、家族の価値を大切にする福音派の人たちが、トランプさんのイランへの爆撃、イスラエルのガザでの幼児や家族の虐殺、コロンビアへの侵攻作戦を支持して、大量の人命の大虐殺に賛同しているのです。
「福音派教会員たち」と言う言い方をしました。これが実は問題なのです。「福音派」と名乗る小教派もありますが、圧倒的に多いのは大きな正統的教会の保守的な人たちなのです。長老派教会、組合教会、改革派教会、メソジスト教会、聖公会などの主流派教会の中枢はわりあいリベラルでトランプさんに批判的です。しかし、これら主流派教会から分離した教会、主流派教会の中にある保守的なグループが「福音派」と呼ばれているのです。
アメリカの福音派の信徒たちは極めて保守的な信仰者と言われていますが、自分たちが持つ保守的な信仰の基準に立って、トランプさんの言動と政策がキリスト教的に妥当するのかどうか、判断できなくなっているのではないでしょうか。わたしは、トランプさんの言動と政策について強烈な批判を持っています。同時に、トランプさんを支持しているアメリカの福音派というものに対しても深い幻滅を感じています。真っ当なキリスト教信仰ではなくなっているのではないかと。今回の花はカトレアとします。(2026/1/23)
以前から主張していたことですが、キリスト教会が長年語ってきた合法的戦争、正義の戦争という主張を捨て去ること、決別することを求めたい。以前に「戦争と平和」の主題で取り上げましたが、今般の衆議院の選挙で自民党が圧勝し、高市内閣が強引な内外政策を遂行し始める時に、特に危機感を感じています。
キリスト教の有力な信条、改革派教会の信仰告白「ウェストミンスター信仰告白」の第23章「国家的為政者」の2項の末尾「同様に、その目的のために、彼らは新約のもとにある今日も、公正で、やむを得ない場合に、戦争を行うことは、合法的で、許される」とある文言を削除することです。この項は、国家的為政者の職務についての事柄で前段については、わたしも承服します。しかし、国家的為政者の職務としての「合法的戦争」については断じて承服できません。
この「キリスト教散歩」31回~38回で「戦争と平和について」という主題で相当詳細に語ってきました。それに付け加える必要はありませんが、最近の高市首相の発言などを見聞きすると危険が迫ってきていることを肌で感じます。
どんな危険性かと言うと「良心的兵役拒否者」の問題です。欧米などでは法律で「良心的兵役拒否者」の存在を認め保護しています。日本ではその法も伝統もありません。「いざ、戦争」となれば現在の志願制の自衛隊では兵士の人数が不足です。自衛隊の充足率は9割で、「いざ」と言う時まったく足りません。兵器などの装備品は予算を付ければよいでしょう。現在、まさに兵器・装備を爆買いしています。
政府が戦争準備に本気になると継戦能力を保つために「徴兵制」に移行します。学校教育で愛国心や郷土愛を涵養しているのは、そのための準備行為です。万一、徴兵制になったと仮定します。戦後民主主義教育を受けてきた人、戦争を恐怖する人の中から、戦前では想像できないほどの多くの人が「兵役拒否」をするでしょう。そして、キリスト者も高いパーセントを占めることになるでしょう。
キリスト教会は、為政者による戦争に合法の口実を与えてはなりません。いかなる戦争にも反対すると共に、万一武力による紛争や戦争が起こった場合に備えて、「兵役拒否者」のための思想的基盤を用意しておかねばなりません。「神の国」に生きるとは、そのような生き方なのです。今回の花はアネモネとします。(2026/2/27)
今年の「ペンテコステ」(聖霊降臨日)が巡ってきます。5月24日(日)です。今、わたしはキリスト者であることに引け目や恥じらいを感じるようになっています。アメリカにトランプさんが大統領として再登場、特に二期目からは独裁者のような、人もなげな振る舞いに、わたし自身が非常な違和感、嫌悪感を感じています。
トランプさんは、2017年のエルサレムの首都承認以来、親イスラエル政策を強力に推し進めています。イスラエルのガザへの蛮行を擁護し、イスラエルと共同でイランへ大規模攻撃を遂行し、ハメネイさんたちイランの多くの要人を虐殺しています。イランの核所有を許さないとしながら、イスラエルの核所有を不問にして、濃縮ウランさえ十分に所有していないイランを攻撃しているのです。
福音書の中に記されているイエスが病む者の上に手を置いていやされた姿を真似て、自分を病む者をいやすキリストに模した画像を作り拡散しています。わたしは、これを見た時、唖然としました。本当にトランプさん、あるいはトランプ陣営が流したのであれば、キリスト教の信徒であったら絶対にしてはならないこと、表現し得ないほどの冒涜行為なのです。
トランプさんの無法ぶりはカトリック教会に対してもなされています。トランプさんは教皇の冠とおぼしき黄金の冠を被り自分を演出しました。教皇レオ14世がアメリカのイラン攻撃を批判して戦争反対を表明すると、教皇攻撃を激化します。トランプさんがアメリカ人のレオ14世を支援したから教皇になれたのに「弱腰だ」と非難し、SNSで罵り続けています。教皇レオ14世は、平和を訴え続け、トランプさんを「暴君」と呼び、はっきり距離をおいて批判を続けています。
トランプさんはアメリカの福音派から熱烈に支持されていると言われています。トランプさんは決して忠実な信徒ではなく、離婚や不倫がつきまとい、息を吐くように虚偽と嘘を吐き続けています。これらの事実が、日本のわたしたちにも明らかであるにもかかわらず、アメリカの教会員たちには見えていないのでしょうか。「トランプ氏は本物のクリスチャンではない」と認めながらも、アメリカの教会がトランプ支持を続ける理由が全く分かりません。虚偽と大言壮語のネロ帝の登場です。今回の花は紫陽花とします。(2026/5/15)